原点回帰

愛おしくってごめんね

担当と呼びたかったあの子へ


息が止まるとは、目の前が暗くなるとは、こういうことを言うのだ。

 


どうなるんだろうって思ってた。
「やっぱり」と思う自分と受け入れたくない自分との板挟み。
千秋楽で号泣されたらどうしようって思ってた。
でも、あの力強いパフォーマンスを見たら、まだいてくれるんじゃないかって思ってしまった。
私が思うよりずっと、あの子は強かったのか。

 

ジャニーズWESTの小瀧くんの、
「高校を卒業するまでにデビューできなかったら辞める」
といった趣旨の発言を目にするたびに、見なかったことにしてきた。
あの子もそういうこと考えてそうだなって思ってたから。

 

あの子は賢い子だと信じてたから、新年度を迎えることが怖かった。
あの子は真剣に、現実的に未来のことを考えられる子だと思ってたから。
この節目を越えても、早くて二十歳、遅くとも大学卒業に際して身分の保障がなければ、あの不安定な世界に身を任せられる子じゃないんじゃないかって思ってた。

 

だからこそ、新年度を越えたら、『担当』と呼ぼうと思っていた。

 

それなのに、あんなにも魅力的なステージを見せてくれたから、私はうっかり警戒心を緩めてしまった。
落とされてしまった。
ステージの上、きらきら輝くきみを見てしまった。
でも、すっかり安心したあとに、意識的に目に耳に入れなかった媒体に触れて、もしかしたらって思った。
杞憂であれ、と思った。

 

とはいえ、私があの子に興味を持つきっかけとなった番組、最近見ていると嫌な予感しかしなくて、
劇場にある箱に投じたお手紙には、未来のことが書けないでいた。
その判断が間違いじゃなかったことが、自分の勘が当たってしまったことが、悲しい。


私はずっと、
「もしそういう決断をしたなら、よくやったって思う」
と言っていた。
だって、正直、それが賢明な判断であることはわかってしまう程度には、私は子どもではなかったから。
それなのに、今は「よくやった」と言ってあげられない。ごめんね。
だって私はもうステージの中できみを見つけちゃったから。

 

 

 

 

ひとつ言えるとしたら、あの子が私が好きになった「賢い」アイドルだったことが証明されてしまった。

だった、と過去形になってしまうことが、こんなにも寂しい。
わたしはまだ、きみのいない世界で生きていくすべを見つけられないでいるよ。

 

すべてが夢であれと、間違いであれと願ってしまう私を、今日だけは許してね。